戦後の日本は、世界から東洋の奇跡と呼ばれるほどの経済成長を遂げて、世界有数の経済大国になりました。
しかし、それも過去のものとなり、バブル崩壊後の日本経済は長らく停滞しています。
昔ほどの経済成長は困難なのに、日本企業は売り上げを上げるために必死です。その結果、ストレスや過重労働によって、心身の健康を崩す人の増加が社会問題になっています。
実は私も仕事のストレスが原因でうつ病になり、それが元で心臓の持病が悪化して仕事を休職しました。そして、その後は結局、会社を辞めることになったのです。
休職するまでには散々悩み抜きました。その最も大きな悩みが「仕事から逃げたいけど、それはただ甘えてるだけなんじゃないか?」というものでした。ずっと悩みながら無理をしてしまい、最後はとても危険な心臓発作を起こしていまったことで、ようやく休職する決心がついたのです。
皆さんの中には、私と同じように「自分は甘えてるだけなんじゃないか?」と思って悩んでる人もいるかもしれません。でも、実はそうやって悩むこと自体が間違っています。
なぜなら、うつ病なんて所詮は甘えや逃げだからです!
よくうつ病と甘えや逃げを別のものと考える人がいますが、私の場合はそうではないと思います。うつ病になる人というのは、自分は甘えているのではないかという自覚があるからこそ、ストレスを感じて精神的なプレッシャーを感じるものだからです。
じゃあ、私は「うつ病なんて言ってないで、気合入れて働け!」とか「うつ病になる人間は怠け者だ!」とでも言いたいのでしょうか?もちろんそんなわけありません。
むしろうつ病になる人は真面目で勤勉で能力の高い人です。だからこそ、うつ病と甘えを混同して悩んでしまうのです。
重要なのは、うつ病と甘えを切り離して、正しく対処することです!
そこで、今回はうつ病が甘えや逃げと区別がつきにくい理由と、うつ病と怠け者の違いの本当の見分け方をお伝えします。
目次
うつ病は所詮は甘えや逃げ
うつ病と甘えや逃げを自分自身で区別しようとしても、所詮は困難です。
では、なぜ困難なんでしょうか?
まずはその理由から見ていきましょう。
うつと甘えを区別するのが難しい理由
うつ病は強いストレスが長期間継続することで、心身に様々な症状が出る病気です。ストレスの原因には様々なものがありますが、その中には逃げたい気持ちや甘えも当然含まれます。
なぜ、逃げや甘えがストレスにつながるのでしょうか?
ストレスを感じるほどの辛い仕事であれば、誰でも逃げたいという気持ちは少なからず出てくるはずです。そして、その気持ちに甘えてはならないと、自分を戒めて頑張るわけです。このように逃げたい気持ちを抑えて仕事をすれば、当然ストレスを感じます。
そして、仕事の大変さや量が増えれば増えるほど、ストレスも大きくなるわけです。
結局どう考えたって逃げてるとしか思えない
このように、ストレスとは、逃げたいという甘えの気持ちと、大変な仕事をしなければいけないという責任感との間で生まれるものです。
だから「自分は逃げたいと甘えてるだけなんじゃないか?」なんて、いくら自問自答してみたところで、出てくる答えは一つです。
それはもちろん「仕事から逃げたいから」に決まっています!
よく真面目で責任感のある人がうつ病になりやすいと言われます。なぜなら「自分は甘えてる」という自己認識があるからです。そんな人がいくらこのような自問自答を繰り返しても、症状をどんどん悪化させていくだけです。
そういう人は、他人から見れば明らかに真面目に頑張っていて、決して甘えているわけではありません。本当は仕事の質や環境が悪いことが原因ですが、そういう人に対して「あなたは甘えてないし逃げてもいない」と言ってあげても、結局あまり効果的ではないのです。
自分は怠け者だと認めることが第一歩
理想は「悪いのは自分じゃなくて仕事や環境なんだ!」と納得できる事です。しかし、こういった人の場合、物理的に仕事に行けなくなるくらいまで体を壊さないと納得しません。
実際に私は命の危険がある心臓発作を起こして、ようやく自分には今の仕事は無理だと納得できました。しかしそれでも休職中は「自分を捨てて仕事から逃げてしまった」という罪悪感がありました。
こういった自責の念に捕らわれていると、どんどん事態が悪化します。
「自分は甘えているのではないか?」と思うなら恐らくそうでしょう。「自分は怠け者なんじゃないか?」と思うなら恐らくあなたは怠け者でしょう。私もそうでしたが、他人から「あなたは甘えてもいないし、怠け者でもない!」といくら言われたとしても、納得できないものです。
私は会社を休職して最終的には仕事を辞めましたが、辞めるその日まで、自分が甘えてしまったことで、会社に迷惑をかけてしまった罪悪感は消えませんでした。
こういった人が、いくら自問自答してみても「自分は甘えてもしないし、逃げてもいない!」という結論になることは、恐らくないのではないでしょうか?
それならば、開き直って自分が怠け者だと認めてしまいましょう!
本当に重要なのはあなたが怠け者かどうかではなく、うつ病かどうかなのです!自問自答を繰り返して悩み続けることで、うつ病が悪化してしまう事こそが問題です。
実はこの2つは全くの別物であって、どこまでが怠け者で、どこからがうつ病などという境界線は無いのです!
まずは不本意でも自分が怠け者であることを認めたうえで、うつ病かどうか見分けることを考えましょう。
大切なことは自分が甘えて逃げているだけの怠け者かどうかではなく、もしうつ病の症状があるのであれば、早く病院に行って治療を受けることです。
そこで、次は自分でうつ病かどうかを判断するポイントをお伝えします。
うつ病の可能性を見分ける方法
うつ病かどうか診断できるのは、医者だけです。しかし、多くの人は自問自答を繰り返すだけで、病院に行くことをしません。
本当にそうかどうかを判断するには、まずは医者に診てもらうことがとても重要になります。
そこで、ここでは病院に行った方が良いか自分で判断するポイントを紹介します。
- 強い葛藤がある
- 自分に非があると思っている
- うつ病の症状がある
注意して欲しいのは、この3つはうつ病を診断するための基準ではないという事です。最終的にうつ病かどうか診断するのは医者です。
ここで紹介する項目に1つでも該当するなら、まずは病院に行って診てもらってください。
それでは順番に解説していきます。
強い葛藤がある
まず1つ目が「仕事の責任を果たしたい」という気持ちと「仕事から逃げたい」という気持ちとの間で強い葛藤があるかどうかです。
そもそもこの「責任を果たす」という意志があるからこそ「自分は甘えてるんじゃないか?」と葛藤する気持ちが生まれてくるのです。
つまり、自分に甘えや逃げの気持ちがあるんじゃないかと感じてる人は、みんな病院で診てもらった方が良いという事です!
自分に非があると思っている
2つ目が仕事の成果が出ないことや、体調不良で出勤できないことなどを、自分のせいだと思っているかどうかです。
自分に非があると思う事は、責任感や罪悪感につながる考え方です。
非常に重要なのは、成果が出ないことや、出勤できないことが本当に自分のせいかどうかは関係ないという事です!
そのような気持ちに悩んでいるのであれば、迷わず病院で診てもらってください。
うつ病の症状がある
3つ目がうつ病の症状があることです。
私もそうでしたが明らかなうつ病の症状があっても中々病院に行けないものです。そんな症状が出る前に病院に行ける人はそもそもうつ病にならないのかもしれません。
うつ病には次のような症状があります。
- 悲しみや虚しさ、罪悪感を感じる
- 物事への興味や喜びの感情が減っている
- 食欲が減った、または増加した
- 体重が急激に増減している
- 不眠や過眠がある
- 集中力ややる気が低下している
- 自殺願望がある
ここで注意して欲しいのが、うつ病には心の症状が多いという事です。このような症状の場合は無理すれば仕事ができてしまいます。
やはり、重要なのは仕事に行けるかどうかは関係なく、このような症状が一つでもあるかどうかです。
1つでも該当する症状があれば、迷わず病院で診てもらいましょう!
さて、ここまではうつ病と、甘えや逃げの気持ちを切り離す重要性についてお伝えしてきました。
しかし「自分は怠け者だと認めなさい」なんて言われても、なかなか難しいものですよね。誰だって自分がダメな事を受け入れることは難しいものです。だからこそ、医者に診てもらうことがとても重要なんです!
最後に私がなぜこれほどまでに、医者に診てもらうことを勧めるのか、その理由をお伝えします!
うつ病と甘えの違いを見分けられるのは医者だけ!
いったいなぜすぐに病院に行った方が良いのでしょうか?
うつ病になるような人は、何らかの理由で自分を追い込んで、無理をしている人です。このような人の場合、自分のことをうつ病と認めるのは難しいことです。また、周りの人からあなたはうつ病だから病院に行った方が良いと言われても、耳を貸さないものです。
実は私もそうでした。体調が悪くても、頑張れば仕事はできるし、週末に休めば回復すると言い聞かせて、ずっと無理を続けていました。そして、これが普通の社会人生活だと信じていました。みんなも同じようなものなんだから、自分だけわがままを言うわけには行かないと思っていたのです。
やがて無理を続けた結果、心臓の持病が悪化しました。妻から「仕事を休むかどうかは後から考えれば良いんだから、とにかく病院に行って欲しい」と強く言われたため、妻を安心させるために病院に行きました。
そこで、自分の症状を伝えたところ、すぐに仕事を休職することを勧められ、診断書を書いてもらいました。そして、それに書いてあったのが”うつ病”という病名だったのです。
思わず医者に「私ってうつ病なんですか?」と確認したところ「不眠やめまい、耳鳴りに頭痛があって、更に心臓発作まで起きてたら、うつ病に決まってるでしょ!」と言われてしまいました。
予想もしなかったうつ病という病名を見て、初めて自分がうつ病だと受け入れることができたのです。そして、ようやく「心臓の持病も悪化して、うつ病にもなってしまったのであれば、休職しても許されるかな…」と思えたのです。
どこまでが甘えで、どこからがうつ病なんて境界線はありません。甘えや逃げの気持ちがある人でもうつ病にはなるのです。
もし「自分は甘えてるだけなんじゃないか?」と悩んでいるなら、それはもう病院に行った方が良い証拠です。
医者に診断してもらえば、その悩みの答えが出るので、悩んでる時間があったら病院に行ってさっさと診断してもらった方が良いですよ!
まとめ
うつ病に対する社会の見方はだいぶ変わってきましたが、それでも「うつ病なんてただの甘えだ!」という考え方は無くなりません。
多くの人はうつ病と甘えの間に境界線があると考えているようです。
しかし、私はうつ病は甘えなのか?甘えじゃないのか?という議論自体が間違っていると思います。
どこまでが甘えで、どこからがうつ病なんて基準はありません。
そういう考えに捕らわれず、次の3つの項目のどれかに当てはまる場合は、是非病院で診てもらってください。
- 強い葛藤がある
- 自分に非があると思っている
- うつ病の症状がある
仕事に対する責任感と、仕事から逃げたいという2つの気持ちの間で葛藤があること
仕事ができなかったり、出勤できないのは、自分のせいだという罪悪感があること
どれか1つでもうつ病の症状やその傾向があること
「自分はうつ病じゃない!ただの甘えな怠け心だ!」なんて思ってる時点で「強い葛藤がある」に該当するかもしれません。
あれこれ悩む時間があるなら、是非、病院に行って、医者に診断してスッキリさせちゃってくださいね!
親が理解してくれない場合どうしたらいいですか、つらい
弱音ハクさん
コメントありがとうございます。
> 親が理解してくれない場合どうしたらいいですか、つらい
親が理解してくれないことは多いですよ。身近な人は、本人の大変さが理解できないのは、無理もないことなのかもしれません。
まずは、お医者さんに診てもらって、専門家の意見に従った方が良いと思いますよ。
いつも周囲に明るく優しく
大きい仕事も、任されていた
真面目な友達がうつ病と
診断されて1ヶ月もたたないうちに
自殺してしまいました。
自殺するまでは周りに甘いやら
なんやら言われてたようです。
もっと話を聞いてあげたらよかった
1人にするんじゃなかった
まちこさん
> いつも周囲に明るく優しく
> 大きい仕事も、任されていた
> 真面目な友達がうつ病と
> 診断されて1ヶ月もたたないうちに
> 自殺してしまいました。
辛い中で、コメントしてくださりありがとうございます。
その方と、直接お会いしたことは無くても、そのような方がいらっしゃることが、悲しくて無念です。
> 自殺するまでは周りに甘いやら
> なんやら言われてたようです。
“甘えてる”なんて周りが言わなくても、本人がそれを一番よく分かってるんですけどね。(事実はもちろん”甘え”なんかじゃないですが)
そういうことを言う人が、まだまだ多いのも残念です。