今の日本はストレス社会と言われています。
バブル崩壊後の日本は経済成長が低迷し、社会には閉塞感が漂っています。そんな中で、競争は激化し、うつ病などの精神疾患になり、仕事を続けられなくなる人も増えてきています。
私は生まれつきの心臓の持病があり、手術も2度受けたことがあるのですが、そんな私も体を壊して、仕事を辞めることになりました。ストレスで心臓の持病が悪化してしまったのです。
なぜ今の日本は、これほどまでのストレス社会になってしまったのでしょうか?昔と何が変わってしまったのでしょうか?日本人はストレスに弱い民族なのでしょうか?
今回は日本がこれほどまでのストレス社会になってしまった原因について考えてみます。
目次
ストレスが継続する社会になった理由
日本社会でうつ病や心疾患など、ストレスが原因の病気が目立った問題になってきたのは、最近のことです。もちろん、昔からも少なからずあった問題でしょうが、ここまで増えたのには、やはり現代特有の原因があるに違いありません。
では、今の日本が昔に比べて、なぜストレスが増してしまったのでしょうか?
その大きな理由は次の3つではないでしょうか?
- 日本人の気質
- 経済のグローバル化
- 心の病に対する意識の低さ
それぞれ、順番に見ていきましょう!
日本人の気質
まず大きいのは日本人の気質です。
ストレスを大きくする原因になる日本人の気質には次のようなものがあります。
- チームや組織を大切にする
- 上下関係に厳しく、目上の人に忠実に働く
- 結果が出なかったり、失敗があると、自分が責任を取る
- 忍耐が美徳とされる
これらは全て日本人の素晴らしい部分です。日本人のDNAに刻み込まれたサムライ魂ともいえるこれらの気質によって、日本人は一致団結できる大きな強みを持っています。その結果、協力して大きな仕事を成し遂げ、大きな経済発展をもたらしました。
日本がここまで発展したのは、このサムライ魂のおかげと言っても過言ではありません。しかし、これらが過度になり過ぎると、自分を押し殺して、望まないことでもやり続けなければいけない環境を作り出します。
また、日本人の仕事に対する責任感は、世界中の民族と比べても、とても強いといえます。そのため、仕事をキッチリと成し遂げることの優先順位が高く、自分を犠牲にしてしまいます。それどころか、既に自分の仕事が終わっていても、同僚や上司の目を気にして、自分だけ帰ることができません。
日本人の場合は、仕事に対して、個人の生活や健康の優先順位が低くなる傾向があるのです。
このように日本人のサムライ魂は大きな強みではありますが、ストレスを生む原因にもなるのです。
経済のグローバル化
現在の世界は通信技術や移動手段、運送手段が格段に発展したため、様々なビジネスは世界を相手に行うことが可能になりました。そのため、今は全世界を相手にビジネスをする時代なのです。
その競争相手の中には、日本よりも安い賃金で、日本人よりもハングリー精神が強い国がたくさんあります。つまり、20年、30年前とは比べ物にならないほど競争は激化しているのです。
そんな激しい競争の中で、日本の名立たる一流企業も競争力が低下してきています。そして、収益も悪化してきています。
競争が厳しくなれば、真っ先に影響を受けるのは労働者です。労働時間は増えても、成果は上がらず、賃金も増えません。そればかりか、中にはサービス残業まで強要する会社も出てきます。
労働時間が増えれば、ストレスが継続する時間も長くなります。賃金が少なければ生活は不安定になり、ストレスの強さも増します。
このように経済がグローバル化すると、なぜか巡り巡って過重労働や賃金の低下を招き、ストレスを増大させる大きな原因になるのです!
心の病に対する意識の低さ
最後が日本人の精神疾患への意識の低さです。
ストレス自体もうつ病などの心の病につながりますが、それだけではありません。
「ストレスで心臓が痛い!その原因と恐ろしい結末とは!?」の記事にも書いた通り、ストレスは心臓を始めとした、様々な体の病気の原因にもなります。
ストレスはそれほど怖い物にもかかわらず、私たち日本人はストレスに対するケアをあまりしないのです。
私たちは肥満が生活習慣病の原因になることを知っています。だから、ダイエットのための努力をします。運動をするのは健康に良い事だと分かっているので、スポーツなどの運動をします。
しかし、ストレス対策のために具体的なケアをしている人は稀です。病気で体調が悪くても、ストレスで心が折れそうでも、根性で頑張ることが美徳です。ストレスを強く感じていても、心療内科や精神科に診てもらったり、カウンセリングを受けようとする人は少なく、重症化するまで頑張り続けてしまいます。
この意識の低さもストレスを大きくする原因の一つなのです。
世界中の先進国では、労働者のストレスが問題になっています。しかし、日本の場合は他の民族に比べても、特にストレスによる問題が大きい国です。
では、このままだとどんな問題があるのでしょうか?
ストレスの何が問題なのか?
日本がストレス社会になったといっても、ストレス自体はずっと昔から存在していたはずです。しかし、昔はストレスで体を壊す人は、今ほど多くありませんでした。
しかし、現代の日本社会のストレスは、場合によっては人間にとって、とても危険なものなのです。実は人間はこのようなストレスに耐えられるようにできていません!
危険なストレスかどうか判断するには、次の3つがポイントになります。
- ストレスの継続性
- ストレスの数
- ストレスの強さは重要ではない!
実は危険なストレスは、自分では危険と気付きにくいものなのです。この3つのポイントを順番に解説していきます!
ストレスの継続性
危険なストレスかどうかの判断ポイントとして、最も重要なのが「ストレスの継続性」です。
ストレスは自分の身に危険が降りかかった時に、自分を守るために集中力と身体能力を飛躍的に上げるための機能です。
この機能の事をストレス反応といいます。
ストレス反応は危険を乗り越えるために、とても大切な機能ですが、体にとっては大きな負担になります。
しかし、身の危険というのは、なんとか逃げ切ってしまえば、それで終わりです。そのため、昔の人にとってはストレスを感じる状況というのは、そう長続きするものではなかったのです。
ところが、現代の日本社会はストレスが継続的に続きます。現代の日本は、社会の構造が複雑化したことにより、厳しい仕事や育児の負担、人間関係の複雑化など、ストレスから逃げたくても逃げられない状況が長く続くことが多いのです。
ストレスが継続すれば、体はずっと負担が大きい状態が続きます。人間の体はストレスが継続することを想定した作りになっていないため、負担に耐え切れなくなって、やがて体を壊してしまうのです。
ストレスの数
次に重要なポイントが「ストレスを感じる対象の数」です。
ストレス反応は身の危険を乗り越えるためのものです。そのため、ストレス反応が一番強く出るのは、命が危険にさらされるような時です。緊急事態の時に自分でも信じられないような力が出ることを「火事場の馬鹿力」と言いますよね。
このような「火事場の馬鹿力」は最も強いストレス反応ですが、その分、体の負担もとても大きいものです。
しかし、現代の日本社会においては、命の危険を感じるような状況は滅多にありません。そのため、ストレスによる体への負担は小さいように思えますが、これが落とし穴になるのです!
昔の日本のストレスと現代の日本のストレスには次のような違いがあります。
時代 | ストレスの強さ | ストレスの種類 | ストレスを感じる頻度 |
---|---|---|---|
昔 | 強い | 少ない | 少ない |
現代 | 弱い | 多い | 多い |
現在のストレスの特徴は種類と発生頻度の多さです。これが非常に危険な理由です!
ストレスの種類と発生頻度が多いと、ストレスがずっと継続した状態に陥りやすいのです。また、一つ一つのストレスは弱くても、複数のストレスが同時に発生することで、ストレスの強さが積み重なってより危険になるのです!
実は現代の日本は、強いストレスが継続しやすい社会なのです!
ストレスの強さは重要ではない!
危険なストレスかどうか判断する時には、ストレスの強さで判断しないことがとても重要です。
私たちは一つ一つの出来事がそれほど大変じゃないと、弱音を吐かずに何とか頑張ろうとしてしまいます。しかし、他にもストレスに感じる出来事が存在していると、自分でも気付かないうちに、とても強いストレスの中で生活を続けてしまうことになります。
私の場合、仕事を辞める直前の月の残業時間は、実は20時間以下でした。
「仕事を休んでも良い人は、毎日終電まで働いているような人だから、自分は弱音を吐く資格はない!」
そう言い聞かせて、無理をし続けていましたが、実際にはプライベートでの様々な活動での責任や家族の病気などの複数のストレスで、体はボロボロでした。
実際には残業を20時間以下しかしていないのではなく、仕事したくても20時間以上の残業ができる体ではなくなっていたのです。
自分が危険な状態かどうかは、一つ一つのストレスの強さではなく、どれくらいのストレスが積み重なっているかで判断してください!
ストレスは直接人の命を奪うものではありません。それ故に私たちはストレスを甘く見がちです。しかし、実際には現代の日本社会のストレスは、人間が耐えられるものではないのです!
では、このような危険なストレス社会で生活している私たちはどうすれば良いのでしょうか?
ストレス社会で生き抜く方法
今の日本社会では、身体的な危険はほとんどなくなりました。治安は良いですし、猛獣に襲われる心配もありません。
その代わり、ストレスが人々の命を脅かすようになったのです。残念ながら私たちはまだそれに対抗することが下手なのです。
では、どうすればこの危険なストレス社会で生き抜くことができるのでしょうか?
それには「サムライではなく百姓になる!」ことが重要です!
これは皆さんに農業をやりましょうと言っているのではありません。仕事に頼らなくても生活できるようになりましょうという意味です。
サムライ、つまり武士というのは、主君から領地をもらって、そこから収められる年貢で生活しています。領地を奪われたら生きていけないため、領地の奪い合いのために一生懸命、命をかけて戦います。実は”一生懸命”という言葉は、一所懸命という言葉が訛ったもの言われています。
鎌倉時代の公家が、一つの領地(一所)を命懸け(懸命)で守る姿を見て「一所懸命の輩」と呼んだのが語源なのです。
現代の労働者も、自分の仕事のために一所懸命に働きます。もちろん今の場合は殺し合いなんてしませんが、ストレスは健康を脅かすため、やはり命懸けであることに変わりはないのです。
一方の百姓の語源は、一説によると「百のことができる人」という意味だそうです。つまり、百姓は生きるために必要なあらゆる技能を持っているのです。だから、武士の戦で農地を奪われても、また別の土地を耕して、そこで作物を作って生活することができるわけです。
現代の私たちは”仕事”という領地を奪われると生活できないサムライです。だから、仕事がなくても生活するための技能を身に着けて、どこでも生活できる百姓になるべきなのです!
そのためにはまず次のことから始めましょう!
- 仕事に執着しない!
- 本業以外の技能を身につける
- 同じ方向性の仲間を作る
いったい、どういう意味なのか?順番に解説します。
仕事に執着しない!
サムライを辞めて、百姓になるには、まず自分の”領地”である仕事への執着心から捨てていきましょう。
そうは言っても、いきなり仕事をやめろという意味ではありません。まずはできるところから始めましょう。
例えば次のようなことです。
- 残業は極力しない
- 無理な仕事は断る
ストレスは仕事への過度な執着心から生まれる部分も大きいです。別にこのようなことをしても、クビにはなりませんよね?これは労働者に認められた正当な権利です。
ブラックな会社では難しいかもしれませんが、仕事を効率的に早く切り上げて、スパッと帰宅してしまいましょう!
本業以外の技能を身につける
百姓になるための最も重要な事が、この本業以外の技能を身につけることです。
サムライは自分の土地を守るしか生活の手段がありませんが、百姓はそんなことに命をかけなくても生活できます。私達も本業に頼らなくても生活できる技能を身につけるのです!
例えば次のようなことです。
- 何か資格を取る
- 将来一緒に仕事できそうな仲間を作る
- 資産運用する
- 副業をする
生活するための手段になりそうなものなら何でも構いません!今の時代は、本業に頼らなくても生活できる何かを持つべきです!
それが、畑で野菜を作ることだって構いません。そうしたら本当に百姓ですね!
ちなみに私の場合は副業でした。おかげでサラリーマンを辞めることができました。今は地方移住して、食料自給も目指しています。
同じ方向性の仲間を作る
百姓の生活は不安定です。農作物は天候によって収穫量が大きく左右されます。そのため、みんなで食べ物を分け合い、助け合って生活していました。
現代版の百姓も同じです。全く会社に頼らずに生活するというのは、やはり不安定です。
そのため、同じ方向性を持つ、現代版の百姓の仲間を作るようにしましょう。
仲間は色々な情報やアドバイスをくれます。そして、心細かったり、大変なときに励ましてくれる存在です。将来、もしフリーランスになったとしたら、もしかしたら仕事を融通し合えるかもしれません。
そのような仲間をたくさん増やしていきましょう!
まとめ
今回は日本がストレス社会になった原因についてお伝えしました。
日本がストレス社会になった原因を、もう一度おさらいすると、次の3つです。
- 日本人の気質
- 経済のグローバル化
- 心の病に対する意識の低さ
仕事に一所懸命のサムライ魂が、自分自身を追い込む。
世界との激しい競争のために、同じ働きでは昔のような成果が出ない。
辛くても頑張ることが美徳の日本人は、ストレスを甘く見ている。
今の日本は全ての人がストレスを感じやすい時代なのです。もし、強いストレスを感じているのであれば、それを自分のせいと考えないでください。
頑張って努力するのは素晴らしいことですが、同時にストレスを感じたら休養を取ったり、時には病院に行くことがとても大切です。
そして、ストレス社会で生き抜くために一番良いのは、百姓になることです!
今の仕事に執着せずに済むように、本業以外にできることを増やして、どこでも生活できるような技能を身につけることも始めてみてくださいね。
目指せ1億総百姓社会!