先日、地方のとあるビジネスホテルに泊まった時に、あることに気付きました。そこでは荷物も運んでくれず、部屋にはコーヒーやお茶などの備え付けの飲み物もなく、冷蔵庫にも何も入っていませんでした。

徹底的にサービスを削り落として、人件費を削り、その分安い料金を設定しているわけです。その時は旅行で行ってるわけではなかったので、ハッキリ言って清潔なベッドで熟睡できればそれで十分なわけです。そういう人にとっては、これくらいのサービスで十分なわけです。

他にも徹底的にサービスを削り落として、低価格を実現しているサービスはたくさんあります。LCCなんて呼ばれる低価格の航空会社もそうです。

世の中全体が、もはや過剰サービスを求めていないように感じるのは、私だけではないと思います。

それにもかかわらず、相変わらず過剰サービスは無くなりません。夜中に来る客がほとんどいないのに営業しているコンビニや、終電間際の時間まで営業している飲食店。年中無休で営業している小売店など、数え上げたらキリがありませんよね?

これっていったい誰が得してるのでしょうか?誰も得してないのに、何も考えずにこんなことを続けているのは、実は日本の将来のためになってないのです!

いったいなぜ日本の将来のためにならないのでしょうか?

そこで、ここでは過剰サービスの問題点と過剰サービスが無くならない理由を考えてみます。

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目次

過剰サービスの問題点

日本のサービスはとても行き届いています。接客は丁寧で、お客の言う事は基本的に何でも聞いてくれます。

しかし、そのサービスを誰も望んでいないのであれば問題です。その場合お客さんは喜んでいないのに、サービスを提供する側ばかりが疲弊していってしまうからです。

実は私自身も過剰サービスを提供する立場でとても大変な経験をしました。大手携帯電話会社のシステム開発をしていた私は、一瞬たりともシステムを止めることが許されない中で仕事をしていました。

頑張って維持するシステムの中には、ハッキリ言って全くお客さんが使ってないサービスもありましたが、それすらも必死でメンテナンスするのです。そして、ひとたびトラブルが発生すると、メンバー全員が呼び出されて、張り付きで対応します。解決するまでは、24時間交代でずっと誰かが張り付いているのです。

でも、みんな心の中でこう思ってました。

「このサービス誰も使ってないのに…」

たとえシステムトラブルが起きなくても、このサービスを維持するための作業は毎日発生します。このような誰も使ってないサービスに関わる作業のせいで、非常に労働時間の多い仕事でした。このせいもあってか、私の職場では辞めていく人の半分は心身の病気が理由でした。

誰も望んでないサービスを続けることは、次のような問題が生まれます。

  • 過重労働につながる
  • サービスを提供し続ける分、労働時間が増えます。労働時間が増えれば、サービスを提供する側が疲弊します。

  • コストが増加する
  • サービスを提供するための人件費や経費が余計にかかります。

  • 結果的にサービス品質が下がる
  • サービスを提供する人が疲弊すれば、サービスの品質が下がります。また、コストが増え多分は価格上昇という形で反映されます。


このようにサービスを提供する側も、サービスを受ける側もどちらも損する状態になります。

そのため、程よいサービスを提供することは、みんなが喜ぶことになり、社会全体にとっても望ましいことなのです!

でも、偉そうに私に言われなくたって、これを読んでる皆さんはこんな事とっくに分かってますよね?

じゃあ、なぜ過剰サービスは無くならないのでしょうか?

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過剰サービスが無くならない理由

うちの近所のコンビニは店員の接客態度が過剰なほど丁寧です。言葉遣いはもちろん、来店と退店時には、深々と頭を下げてくれます。

これが過剰サービスかどうかには、賛否両論あると思いますが、私としては正直コンビニの店員に、そこまで丁寧にされることは望んでません。それよりは気楽に仕事をしてもらって、少しでもストレスを減らしてもらえればそれで良いとさえ思います。

そのような過剰サービスが無くならない理由を考えてみると次のようなものが見えていきました。

  • 作業のマニュアル化
  • 売り上げの減少
  • 他がやってるから


このような理由の背景には、日本の経済成長が頭打ちになっていることがあります。

それぞれがなぜ過剰サービスを助長するのか見てみましょう。

作業のマニュアル化

的確に判断し、高いレベルのサービスを提供できる人材の教育・訓練にはお金がかかります。特に小売業などはアルバイトも多いため、そもそも教育に時間もお金もかけること自体が難しいです。

そのような場合でもサービス品質を一定レベルに保つ方法があります。それが、作業のマニュアル化です。作業をマニュアル化すれば、短い時間でも一定レベルのサービスを提供できる人材を育てることができます

しかし、これには欠点があります。マニュアルに従って作業をすると、自分で判断して考える力がいつまで経っても身に付かないのです。

以前、私は家族に頼まれて、弁当屋に行き、3人分の食べ物を注文しました。すると店員さんは、私に対してこう聞きました。

「お箸は1膳でよろしいですか?」

そう言われた私は、思わず心の中で「1人でそんなに食えるかっ!」と突っ込んでしまいました。

この店員さんは、本当に私が3人分を食べられると思ったんでしょうか?きっと、マニュアルに従って受け答えをしただけだと思います。いくら素晴らしいマニュアルを作っても、全てのシチュエーションで最適な対応ができるわけではありません。

マニュアルに固執したサービス提供は、過剰サービスの原因になります

売り上げの減少

日本経済が右肩上がりの成長を続けたのは、既に過去の話です。今や企業の業績も頭打ちで、頑張って働いても売り上げもなかなか増えません。

売り上げが増えなければ、営業時間を延長したり、営業日を増やすことで、何とか少しでも増やそうとするわけです。

その結果、うちの近所にも、誰も客がいない中で、休日に営業しているお店がたくさんあります。そんなことせずにお店をお休みにしてしまえば、店員さんだってどこか他の場所に行ってお金を使ってくれるかもしれません。

そうしたら、消費が増えて、結果的に日本経済のためになるんじゃないでしょうか?

他がやってるから

過剰サービスだと分かっていても、競合他社がやっていると、自分から先に止めるのは難しいものです。

例えばコンビニ業界で、どうせ客が来ないからといって、深夜営業を止めることはできないでしょう。なぜなら、ライバルに客が流れてしまうからです。

ライバルやってることを自分が真っ先に止めてしまうことは、売り上げの低下に直結します

この理由の過剰サービスを止めることはかなり困難です。

では、過剰サービスによる悪循環を止めるにはどうすれば良いんでしょうか?

私たちにもできることを考えてみました。

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過剰サービスにはNoと言おう!

誰からも必要とされていない過剰サービスを続けることは、最終的には日本社会のためになりません。

私たちは誰でも、サービスを提供する側であり、サービスを受ける側でもあります。そのため、過剰サービスをなくすことは、最終的には自分の生活にも余裕を作ることにもなるのです。

たった一人では難しいことかもしれませんが、それでもまずは自分でできることから始めるべきではないでしょうか?

例えば次のような事です。

  • 過剰サービスは辞退する
  • 程よいサービスの商品を選ぶ


順番に説明していきますね。

過剰サービスは辞退する

過度な接客や付属品などは辞退しましょう。

例えば先日こんなことがありました。レストランで友人たちと食事をしていたのですが、店員さんは料理の内容の説明を長々と丁寧にやってくれたり、飲み物が無くなるとすぐに追加の飲み物はいらないか聞いてきました。

もちろん丁寧な接客はありがたいですし、売り上げを上げるためには、追加の注文を確認した方が良いのは分かります。でも、友人たちとの会話を、たびたび中断されるのは有難迷惑です。

そこで、何かお願いがあればこちらから声をかけるので、自分たちをほったらかしにしてくれるようにお願いしました。この方が店員さんの手も空き、他の客へのサービスが充実します。私たちもゆっくり会話が楽しめます。

それ以外でも私は、買い物した時のビニール袋は可能な限り辞退するようにしてます。微々たるものですが、この方が余計なコストが削減されます。

ほとんどの場合、不要なサービスにはNoと言った方が、お互いにメリットがあるものです!

程よいサービスの商品を選ぶ

過剰なサービスを行っているものにはお金を使わないというのも、1つの手段です。

例えば深夜営業をしているスーパーや飲食店には行かないとか、過度なサービスを提供するホテルは利用しないなどです。

近所にその店しかない場合などは、せめて深夜の時間帯にはお店に行かないようにするだけでも良いかもしれません。

過剰なサービスを提供するメリットを無くすことで、適度なサービスを提供するように促すわけです。

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まとめ

私たちは誰でもサービスを提供者です。過剰なサービスは誰にもメリットは無く、ただただサービスを提供する側を疲弊させます。つまり、私たち全員が疲弊していくという事です。

このような悪循環を断ち切るためには、私たちが過剰サービスを辞退する事から始める必要があると思います。

今回紹介した方法をもう一度まとめておきます。

  • 過剰サービスは辞退する
  • 自分にとって不要なサービスや、有難迷惑なサービスは丁重に断る

  • 程よいサービスの商品を選ぶ
  • 過剰サービスを提供している企業に利益を与えない


でも、実はそれでは他人は楽になっても、自分が直接、楽になるわけではありません。そうなると、最終的には過剰なサービスを提供する仕事を辞めるしか選択肢がないかもしれません。

私の場合も、誰も喜んでないことのために、無理して頑張ることにずっと疑問を感じてました。そして、それを他人に強要しなければいけないことにも葛藤がありました。最終的に私は体を壊してしまい、それをきっかけに仕事を辞めたのです。

何も考えずに無理を続けるのは、自分のためにも他人のためにもなりません。

是非、自分にできることから少しずつ変えてみてください!