前回までのお話は、私が体を壊してから、会社に仕事を休ませてもらうまでの事を書きました。
前回の記事はこちら
⇒ 遂に休職の相談を上司に!新しい人生の始まりかと思ったら…
しかし、いつか仕事を辞めようというのは、ずっと前から考えていました。実はある出来事があってから、脱サラのための情報収集や勉強を開始したのです。
今回は時間を遡って、1年半前のある出来事のお話を書きたいと思います。
目次
ある日の電話
それはある秋の平日の昼間の事でした。その頃は年末にリリースを控えた新サービスのシステム開発で、激務の真っ最中でした。
午後の仕事をしている時に、携帯電話に電話がかかってきました。平日の昼間に携帯電話に電話をかけてくる友人はいないので、不思議に思って、着信中のスマホの画面を見ると知らない固定電話からの着信でした。
昼間に知らない固定電話からかかってくる電話なんて、間違い電話か、何か緊急の要件かもしれないと思い同僚の迷惑にならない場所に行って電話を取りました。
しかし、電話をくれたのは、私が行っている教会で事務の仕事をしているSさんという友人でした。
私「覚えてますよ。親友だったんで、今何してるんでしょうね~?」
Sさん「実は今、そのMくんから電話があって、やふひちくんの連絡先を教えて欲しいって言われたんだけど、個人情報は教えられないって断ったのよ。ならば、自分の電話番号を教えるから、やふひちくんに教えてあげて欲しいとお願いされたので、今から教えるね。」
このMくんというのは、とても明るくて、いつも一緒におバカなことをやった仲です。でも、いつの間にか教会に来なくなってしまい、それ以来、疎遠にしていました。
彼の事を思い出すと、楽しい思い出がいっぱいで、懐かしい気持ちになります。その彼がなんで教会を通して、僕と連絡を取りたがっているのでしょうか?
何か助けて欲しいことでもあるのだろうかと心配に感じながらも、目の前の仕事を片付けないといけなかったので、一旦仕事に戻り、彼にはその日の夜に電話をしました。
久しぶりに食事する事に!
その夜、帰宅して落ち着いてから彼に電話しました。
電話に出た彼は、戸惑い気味の様子でした。知らない電話番号からの着信に出た感じの典型的な様子です。
私「やふひちだけど、久しぶり!昼間教会から電話もらってMの電話番号を教えてもらったから、電話したんだ。」
Mくん「お~、やふひち久しぶり!突然ごめんね~!びっくりしなかった!?変な電話しちゃってごめんね!」
何でも彼は自分の携帯電話をトイレに落として水没させてしまったらしく、携帯の電話帳のデータが全て消えてしまったそうです。
バックアップも一切取ってなかったので、古くからの友人の連絡先も全て消えてしまい、途方に暮れていたそうです。そして、何とか一人でも多くの人の連絡先を取り戻したいと考えたところ、教会に連絡すれば、何人かの人とまたつながることができると思いついたのだそうです。
というわけで改めて私のメールアドレスなどを教えた上で、お互いの近況の事を色々と話しました。
今、彼はうつ病で仕事を続けられなくなり、病院に定期的に通う生活をしているそうです。話を聞く限りでは、なんだか大変な生活をしてるようです。
他にも色々話しましたが、電話だけでは、なんなのでまた今度会ってご飯でも食べようということにしました。
彼は別人のようだった
彼とは、郊外のショッピングモールで、平日の夜に会うことにしました。今の彼は人混みに行くのは難しいので、人気の無い所で会いたいと言われたからです。
このショッピングモールは平日の夜は人がサッパリいないので、落ち着いて話せます。特に空いていた広島風お好み焼きのお店を選びました。客は私とMくんだけです。
直接、会った彼の印象は、昔とは全く違っていました。あんなに明るくて、笑ってばかりいた彼は、今は凄くおとなしく、笑顔もありません。そして、お子にも焼きを食べながら、こんな状態になるまでの事を、淡々と話してくれました。
彼は元々、介護福祉の仕事をしていたのですが、慢性的な人手不足による過重労働で大変だったため転職したそうです。
転職した仕事は物流系の現場の仕事で、過重労働は更にひどくなり、サービス残業まで強要されたそうです。
無茶な要求に同僚も苦しんでいたため、上司に待遇改善を訴えたそうです。しかし、取り合ってもらえず、更に待遇が悪化し、上司からは目の敵にされる日々になり、遂にうつ病になって会社を辞めたそうです。
ブラック企業の過重労働から、うつ病になるという今の日本社会の闇を象徴するような話に衝撃を受けました。
あんなに明るかった彼をこんな状態にしてしまうなんて…。しかし、彼はこうも言いました
上司も被害者だし、会社も必死なんだよね。でも、自分はついていけなくてね。だから、自分にはこの仕事は無理と思って辞めたのよ。」
私はやり場のない怒りを感じました。そして、他人ごとのようには感じられず、いつか自分もこうなるかもしれないと思うと、不安を感じました。
彼に教えてもらった本
今の彼にとっては外出するだけでも、結構緊張するらしく、食欲もあまり出ないそうです。出てきたお好み焼きも、ちびちび食べていました。
そうして、お好み焼きを食べながら、彼が大変だった話をたくさん聞いた後、今度は今の自分のことを彼に話しました。
ただ、彼に共感して、励ましたいと思い、自分の事を正直に話していたのですが、共感してるつもりが、いつの間にか自分の悩みを話してしまっていました。
激しい競争にさらされた業界で、自分も同僚も毎日ボロボロになりながら働いている事。そんな中で、会社を辞めていく人の半分は精神的な病気が理由である事。定年退職まではとても続けられる仕事じゃないと思っている事…。
私の話を聞くと彼は言いました。
だから、考え方やライフスタイルを変えなさいって、いつも医者から言われていてね、それで、こんな本を紹介してもらったのよ」
その本は「ダウンシフターズ」という本でした。
Mくん「アメリカではこういう生活をしている人が増えてるんだって、こんなライフスタイルが良いんじゃないって、医者は言ってくれるんだ。でも、まだ、読んでないんだけどね…。」
その話をしながら、早速、スマホでその本の事を調べてみました。
ダウンシフターとは、物質的に豊かな生活をするために、高収入を得ようと過重労働と過剰消費を繰り返すライフスタイルよりも、収入が減っても、自分に合った余裕のあるライフスタイルを選んだ人たちの事です。
そして、実際に日本でそのライフスタイルを実践している人が、自分の体験から、ダウンシフトなライフスタイルを提唱しているという内容でした。
ダウンシフターズを読んでみた
その後も彼は私の事を色々と励ましてくれました。彼の事を励まそうと思ったのですが、結局、彼に仕事の愚痴を話すだけの時間になってしまいました。
まだまだ、話足りなかったのですが、今の彼は長い時間、外出していると心が疲れてしまうので、その日はそれくらいで話を済ませて、そのうちまた会うことにして別れました。
分かれたあと、私は「ダウンシフターズ」が気になっていました。ダウンシフトなライフスタイルになんとなく興味があったので、amazonで注文して早速読んでみました。
ダウンシフターとは2000年にアメリカで紹介された生き方だそうです。
経済的、物質的に豊かな生活は、贅沢ができて、人からも良く見られる生き方です。しかし、その生活レベルを維持するために、長時間労働や物に支配された生き方は様々なストレスがあります。
そんな生活をしていては、いつか健康を損なって、人生を棒に振ってしまうことに気付いた人たちが、生活レベルを下げてでも、心身共に健康な生活をすることを選んだのです。
実際にこの本の著者の方も、東京の百貨店に勤めて、そこでトップセールスの成績を上げて、出世街道を歩んでいました。
しかし、長時間労働や売り上げへのプレッシャーから、うつ病になる寸前まで追い込まれて仕事を辞め、今ではオーガニックな食材のみを使った料理とお酒を出すバーを経営しているそうです。
そこまでは、よくある話だなぁと思うのですが、興味を持ったのは、そのライフスタイルでした。
彼は仕事を辞めるにあたり、自分に合ったライフスタイルのために必要な収入を計算した結果、年収300万円で良いと判断し、それ以上稼ぐためには、決して仕事をしないのだそうです。
そのため、お店も週休3日にしていて、働き過ぎないようにしているのだそうです。
私はダウンシフトなライフスタイルに憧れました。しかし、それには自分の時間と収入をコントロールできるようにならなくてはいけません。
それには、今の仕事を辞めて、自営業を始めるしかないと思いました。サラリーマンしかやったことのない私が、自営業をやるなんて、その時には全く想像もできませんでした…。
しかし、現実は激しいストレスにさらされる厳しい仕事の毎日です。この生活から抜け出すことを真剣に考えないと、いつか自分の心も体も確実に壊れてしまうと思いました。
「誰でも未経験から始めるのだから、とにかく情報収集から始めて、自分にできそうなことを見つけよう」
一念発起して行動開始!
その日から、空いた時間に自営業をしている友人から話を聞いたり、色んな本を読んだりすることを始めました。
徹底的にリスクを避ける人生をしてきた自分には、最初はどれも無理としか思えない事ばかりでした。でも、今振り返ってみると、情報と経験が不足していただけだと思います。
今の時代、サラリーマンでまじめに働けている人であれば、自分に合った自営業は必ずあります。単にみんな知らないだけです。今の仕事が合わないと思うのであれば、必ず自分に合った天職があると思います!
その仕事は一生やりたい?天職の見つけ方の4つのポイント!
とは言っても、それは今だから言えるのであって、この頃の私にはまだ不安だらけでした…。私はどのようにして自分に合った仕事を見つけたのでしょうか?
次回以降は私が、どのようにして、自分のダウンシフト生活にあった仕事を見つけたのかについてお伝えします!
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