先日、うつ病で仕事を休職中の友人と飲んだ時のことです。彼はもうすぐ復職するために人事担当と面談をしたのですが、その時にその人事担当から「うつ病になった責任は、ストレス耐性の低いあなたにもある」とやんわりと言われたそうです。
私はそれを聞いて憤慨しました。なぜなら、友人のストレス耐性が低くなったのは、その友人の会社のせいに決まっているからです!
ストレス耐性が強い人の方が良いと思っているならそれは大きな誤解です!実は人間は多少の個人差はあっても、元々はみんなストレス耐性が強いからです。
では、なぜストレス耐性が下がってしまうのでしょうか?そして、どうしたらストレス耐性を上げることができるのでしょうか?
ここでは、ストレス耐性が下がってしまう原因と、ストレス耐性を上げるための方法をお伝えします!
目次
ストレス耐性が下がる原因
筋力や持久力は鍛えれば向上させることができます。私たちはストレス耐性も、ストレスが強い状況で耐えていれば鍛えられると考えがちです。
しかし、ストレス耐性はストレスがかかればかかるほど、どんどん下がっていってしまうのです。まずはストレス耐性が下がる原因から解説していきます。
ストレス反応とは?
ストレス耐性が下がる理由を見ていく前にまずは、ストレス自体がどういうものなのかから説明します。
ストレスというと心と体に害がある悪いものというイメージですが、実は人間にとって必要な大切なものなのです。
この機能をストレス反応と呼ぶのです。
ストレス反応が起きると、体に次のような変化が起きます。
- 血圧や心拍数の上昇
- 消化機能などの低下
- 末梢血管の収縮
- 体に蓄積された脂肪をエネルギーに変える
- 集中力の上昇
体中に酸素と栄養を送って、身体能力を向上させる
危険回避のために不要な機能を停止して、その分のエネルギーを他に回す
負傷した時の出血量を減らすため
危険に対処するためのエネルギーを作り出す。
危険に対処するための判断力を向上させる
このように、ストレス反応は自分の生命の安全や安定した生活が脅かされた時に、それに対応するための人間の重要な機能なのです!
ストレス反応を司るのは扁桃体
ストレス反応は自分の命や生活の緊急事態に、対処するための重要な機能です。そして、脳の中には緊急事態が起きた時に緊急警報を鳴らす部分が存在します。
それが、扁桃体と呼ばれる器官です。扁桃体はアーモンド程度の大きさをしていて、左右一対、合わせて2つ存在します。
人間は危険を察知すると、この扁桃体からストレス物質を放出します。ストレス物質は血液に乗って全身に送り届けられます。
そして、ストレス物質を心臓が受け取れば、心拍数と血圧を上昇させ、末梢血管が受け取れば血管を収縮させるなどして、体中の各器官がそれぞれストレスに対処するための反応をするのです。
ストレスが強いと扁桃体が大きくなる!
扁桃体は緊急事態が起きた時に、体に緊急事態を伝えて危険を脱するために重要な役割を果たす器官です。
しかし、強いストレスが長期間続くと、緊急事態への対応能力を上げるために、扁桃体が肥大して、一度に放出されるストレス物質の量が増加します。
これによって、緊急時の身体能力の上昇度をより高めるのです。つまり、常にストレスにさらされていると、それによって鍛えられて、ストレス反応の力が増すのです。
あれっ、やっぱりストレスがかかっていると鍛えられるじゃんって思いましたよね!?確かに強いストレスがかかると、それによって鍛えられて、ストレス反応が強くなります。
しかし、ストレス反応が強くなればなるほど、それに反比例して、ストレス耐性は下がってしまうのです!いったいなぜなのでしょうか?
ストレス反応は心も体も疲弊させる
ストレス反応は緊急事態に対処するために大切な機能です。
しかし、これは一時的に無理をして身体能力を上げているだけに過ぎません。ストレス反応が起きると、心にも体にも強い負担がかかるのです。
また、厄介なのは、常にストレスにさらされている人は、扁桃体が大きくなっているので、同じストレスでも強いストレス反応が起きてしまうのです。
常に強いストレスにさらされている人は、普通の人には何でもない事でも、ストレスに感じてしまい、動悸や食欲低下、目まいや耳鳴りの症状が出てしまいます。これらの症状は全て強すぎるストレス反応の結果なのです。
このように強いストレスを受け続けることは、ちょっとしたことでも強いストレス反応を引き起こす、ストレス耐性の低い体になる原因になるのです。
では、一度下がってしまったストレス耐性を再び上げる方法はあるのでしょうか?
次はその方法を紹介します。
ストレス耐性を上げる方法
ストレス耐性の低下は、扁桃体の肥大により、ストレスに対して過剰な反応を起こすことが原因です。
そのため、ストレス耐性を上げるには、強いストレスで肥大してしまった扁桃体の大きさを通常サイズに戻す事が必要です。扁桃体が通常サイズに戻ることで、ストレスを感じた時に扁桃体から放出されるストレス物質の量が減るため、心と体の負担が減るのです。
では、扁桃体のサイズを元に戻すにはどうすれば良いのでしょうか?
実は肥大した扁桃体はストレスが無い状態になると、徐々にサイズが元通りになることが分かっています。
でも、忙しい現代の日本社会で、どうすればストレスを避けることができるのでしょうか?
ストレスを避けるにはどうする?
最も良いのは、ストレスが無い環境でしばらく過ごすことですが、仕事を長期間休むのは現実的ではないですよね!
忙しい日々でも、適切にストレスを解消することが大切になります。
大切なポイントは次の3つです。
- 自分のストレス解消法を持つ
- その日のストレスはその日に解消する
- ストレスを避ける生活習慣を身に付ける
運動、映画鑑賞、入浴など、自分に合ったストレス解消法をいくつか持つこと。
ストレス反応を継続させないことが扁桃体を肥大させないために重要なため、必ず毎日、ストレス解消すること。
一番良いのは、ストレスを感じないことなので、通勤ラッシュなど、ストレスに感じるシチュエーションを避けること。
とにかくストレスを甘く見るのはやめましょう。ストレスにさらされていると、どんどんストレスに弱くなっていきます。
長い社会人生活ではストレスと無縁ではいられません。常に意識してストレスに適切に対処するように心がけてください。
ちなみに私も実践しているおすすめのストレス解消法をこちらの記事に書いているので、良ければ参考になさってください!
⇒ 毎日のストレスの解消法!簡単にできる4つの方法を紹介!
まとめ
私たちは辛い事でも、ひたすら忍耐することで、精神力や忍耐力が鍛えられると考えています。
しかし、度を過ぎた強いストレスは精神力や忍耐力を養うどころか、かえって精神を壊し、ストレスにとても弱くなってしまいます。
実はストレス耐性が一番高い状態は、ストレスに適切に対処できている時です。決してストレスに対して無理に我慢してはいけません!
ストレス耐性を下げないためのポイントは次の3つです。
- 自分のストレス解消法を持つ
- その日のストレスはその日に解消する
- ストレスを避ける生活習慣を身に付ける
是非、自分自身に合ったストレス解消法を持ち、毎日のストレスに適切に対処してください!