仕事などのストレスが原因でうつ病になる人が増えていることが、社会問題になっていますよね。
仕事のストレスでうつ病になる人を見て、なぜそこまでして仕事をするのか理解できないという人も多いようです。
実は私もストレスが原因で、持病の心臓病が悪化して病院に行ったところ、診断は心臓病とうつ病でした…。結局、その診断書をもらって会社を休職し、そのまま仕事を辞めました。
ストレスを感じながら仕事をしている間は、まさか自分がうつ病とは思ってませんでした。大変な仕事だけど、同僚たちだって同じだし、自分だけ弱音を吐くなんてできないと言い聞かせて、無理して頑張り続けたのです。
皆さんの中には、今まさに、強いストレスを感じながら仕事を頑張ってる方がいるかもしれません。あるいはもしかしたら自分はうつ病かもしれないとお悩みの方もいるかもしれません。
もし、昔の私のように仕事を休みたくても、休むことができず、毎日無理をしているのであれば、一旦立ち止まってみて欲しいです。そして、必要なら仕事を休むことも検討して欲しいです。
今回はうつ病で仕事を休むべきかどうか悩んでいる方に向けて、うつ病の怖さや休職から社会復帰までの流れなどを、私の体験を踏まえてお伝えします。
目次
うつ病でも仕事を続けるべきか?
なぜ、現代の日本ではうつ病患者が増えているのでしょうか?
うつ病の難しい点の一つは、どこまでが健康でどこからがうつ病なのか分かりにくいという事があります。
誰だって月曜の朝は仕事に行きたくないと感じたことはあるでしょう。ベッドから出れなくて、体が重くて動かないとか、その日の会議の事を考えて憂鬱な気持ちになるなんてことも日常茶飯事かもしれません。
私もそうでしたが、社会人になった時から、仕事のストレスは常にあったので、憂鬱になったり、体が重くなったりなんてよくあることでした。だからと言って、そのたびに仕事を休むなんて、わがままで周りにも迷惑に決まってますよね。
そうなると、当然仕事を頑張ります。それでも最初のうちは上手にストレス解消をして、健康的な生活をしていました。
しかし、年々、仕事の責任が増えていくにしたがって、ストレスも増加していつの間にか心身がどんどん疲弊していきます。
ところが、頭の中では相変わらず「わがまま言わずに仕事頑張らなきゃ」と考えて、無理を続けてしまったのです。
皆さんも私と同じような感じで、無理をして仕事を続けてるかもしれません。しかし、それは様々な損失を生むのです。
代表的なのは、次の3つです。
- うつ病は甘くない
- 自分のアイデンティティを傷付ける
- 会社のためにもならない!
うつ病は自分にも他人にも害があります。順番に説明しますね。
うつ病は甘くない
一般的にうつ病が治るまでには、長い時間がかかります。
私の場合は、幸か不幸かうつ病が重症化する前に、先に心臓病が悪化して仕事を続けられなくなったので、治るまでの時間も短く済みました。
しかし、一般的には治療を始めてから治るまで次のような経過をたどります。
- 最初の3ヶ月~6ヶ月(急性期)
- その次の4ヶ月~6ヶ月(回復期)
- 更にその次の1年~2年(再発予防期)
十分な休養を取って、症状をやわらげる期間
症状が良くなったり、悪くなったりを繰り返しながら、徐々に調子のよい日が増えていく期間
社会復帰できるようになりますが、引き続き治療を継続して、症状が悪化しないように注意しながら過ごす期間
このように、うつ病が完治(厳密には”寛解”)するまでには、最低でも2年くらいはかかってしまうのです。
うつ病になってしまうと、人生の2年間を失ってしまうのは大きな損失ですよね。うつ病になるまでのストレスを感じてる期間も入れると、もっと長いかもしれません。
自分のアイデンティティを傷付ける
こちらの記事にも書いた通り、強いストレスは心身を疲弊させます。
⇒ ストレスが続くと病気になる理由!ストレスに殺されない方法!
ストレスが続くとやがてうつ病になり、心と体は更にボロボロになります。こんな状態では、当然、良い仕事などできるはずはありません。
しかし、うつ病の人は往々にして、仕事ができないことや、それによって周りに迷惑をかけていることで罪悪感や喪失感を感じます。
そして、これが続くと自尊心や自己肯定感を失ってしまうのです。
たとえ仕事がうまくいかなくても、それはうつ病という病気のせいです。それなのに自分を責めてしまい、自分のアイデンティティを傷つけてしまうのです。
会社のためにもならない!
健全な会社は、社員の健康を維持して、生産性を上げようと努めています。社員をうつ病にしてしまうのは、生産性が低下するどころか、貴重な働き手を長期間、失ってしまうため大きな損失になることを知っているのです。
本当に周りの迷惑を心配するのであれば、うつ病にならないように、しっかりと自分自身をケアすることが大切なのです。
というわけで、うつ病は自分の人生はもちろん、家族や友人、会社にとっても大きな痛手になります。
そのため、今の自分の状態を正しく見極めることが大切になります。
自分ではなかなか見極めが難しいうつ病ですが、次はその見極めの方法を紹介します。
自分はうつ病なの?
まずうつ病は自分で見極めることは、非常に困難です。そもそも、自分の事を客観的に判断できるのであれば、そこまで悪化しないですよね。
そのため、最終的には病院に行って、必ず医者の診断を受ける事が重要です。
そこで、ここではうつ病を診断する基準ではなく、専門家がうつ病患者をスクリーニングする時に使っている二質問法を紹介します。
- 過去1ヵ月間で、気持ちが落ち込んだり、憂鬱な気分、絶望的な気分になりましたか?
- 過去1ヵ月間で、しばしば小さなことに悩まされたり、何をしても楽しくないと感じますか?
この2つの質問のどちらか1つに対してでも”はい”という答えであれば、うつ病の可能性があります。
普通に仕事をしていれば、誰だって該当するような質問ですよね?実は、それくらいうつ病とは身近で、実感しにくい病気なのです。
落ち込んだり、憂鬱な気分になることは決して当たり前のことじゃないのです。
では、自分がうつ病かもしれないと感じた時には、どうすれば良いのでしょうか?
今度は精神科や心療内科の病院の受診方法を見ていきましょう。
病院受診の流れ
「もしかして自分はうつ病かもしれない」とか「体調がかなり悪いから休職したい」と思った時には、やはり病院に行くことになります。
心療内科や精神科の病院に行くのは、最初はなかなか抵抗があるかもしれません。
また、遠慮や恥ずかしさから、自分の症状をちゃんと話せないかもしれません。
そこで、病院では次の3つのポイントを意識してみてください。
- 近くの心療内科または精神科に行く
- 正直にありのままの症状を言う
- 休職したい場合は、診断書を書いてもらう
これから定期的に通うことになるかもしれません。体調が悪くても行きやすいように、なるべく自宅から行きやすい所を選びましょう。
症状は正直にありのままを話しましょう。特に罪悪感や恥ずかしさのような感情は捨てて、辛いなら辛いとちゃんと伝えましょう。
もし、仕事を続けるのが辛くて休職したいなら、ちゃんとその旨を伝えましょう。医者の方から休職を進めてくれるのを待つよりも、その方が話が早いです。
特に休職したい時などは、会社に伝える理由をあれこれと考えてしまうかもしれません。
しかし、実際には理由なんて考える必要はありません。医者が診断書に「うつ病のため○ヶ月の加療を要す。」なんて書いてくれれば、それが理由になるのです!
あれこれ悩むのは、診断書をもらった後でもできることなので、まずは病院に行きましょう。そして、病院では正直に症状と自分の希望を話してくださいね。
ちなみに、うつ病で診断書をもらう方法については、こちらの記事にも詳しく書いているので、良ければご覧ください。
⇒ うつ病の診断書のもらい方!もらうまでの流れと不安を全部解決!
さて、病院で診断書をもらい、休職することになった場合、どのように過ごせば良いのでしょうか?
次は休職中の過ごし方を見ていきましょう。
休職中の過ごし方
休職すると、まずはもの凄くホッとするはずです。私の場合はホッとする気持ち60%と、同僚への申し訳ない気持ちとこの先の不安が20%ずつといった感じでした。
仕事を休んでからの数日間は、かなり症状が良くなります。しかし、もちろんそんな短い時間で治ることはありません。
しばらくすると、仕事を休んでる罪悪感や、将来の不安などを感じるようになります。症状も良くなったり悪くなったりを繰り返すはずです。
完全に良くなるまでには、どうしても時間がかかります。少しでも回復を速くするために、休職中は次のことを心がけてください。
- 仕事の事は一切考えないで休む
- 毎日やる事を決める(可能なら)
- 好きな事を必ずやる
それぞれ、順番に説明していきますね。
仕事の事は一切考えないで休む
休職中は仕事のことはこれっぽっちも思い出さないようにしてください。
そうは言っても、給与明細やら事務手続きのための書類が送られてくることもあり、なかなか簡単じゃないかもしれません。それでも、せめて今までやっていた業務の事だけは考えないようにしましょう。
仕事が原因でうつ病になったのであれば、それを思い出すことが一番の回復への妨げになります。
休職中は仕事の事を一切考えないのは、基本中の基本です。
毎日やる事を決める(可能なら)
うつ病の回復のためには、規則正しい生活をすることが大事です。
また、今まで働いていたのに、急に何もしなくなると、罪悪感や不安といった感情が出てきたり、仕事の事を思い出しやすくなります。
もし、症状が軽くて元気があるのであれば、何かやることを決めておきましょう。勉強でも運動でも自分ができる事なら何でも構いません。
ポイントはハードルは低く設定して、決めたことができなくても、気にしないようにすることです。
好きな事を必ずやる
楽しんだり、笑ったりすることは、とても良い事です。
休職中は今までできなかった、趣味や好きな事をやるようにしましょう。
休職中なのに休まずに遊ぶことに罪悪感を感じるかもしれませんが、早く回復するための利用の一環なので、気にしないようにしましょう。
ただし、これも症状が軽くて元気な時に限るので、調子が悪い時には無理しないようにしてください。
まとめ
自分で自分をうつ病だと見極めることは、とても難しい事です。
うつ病はある意味では、プレッシャーに耐えて頑張ることができるからこそ、なってしまうものです。
しかし、一度うつ病になってしまうと、自分の人生はもちろん、家族や友人、会社にまで大きな損失を与えてしまいます。
無理せず、少しでもその兆候を感じたら、心療内科か精神科の病院を受診してください。
そのためにもう一度、うつ病の可能性を見極める2つの質問をおさらいしておきます。
- 過去1ヵ月間で、気持ちが落ち込んだり、憂鬱な気分、絶望的な気分になりましたか?
- 過去1ヵ月間で、しばしば小さなことに悩まされたり、何をしても楽しくないと感じますか?
このうちのどちらかにでも該当すれば、うつ病の可能性があります。
「こんな質問、頑張って仕事してる人なら誰でも該当するじゃん!」って思うかもしれません。
実際に私もそうでしたし、病院で診断されるまで、自分がうつ病だと思ってもみませんでした。
人間が落ち込んだり、憂鬱になったり、何をしても楽しくないなんて気持ちになるのは、当たり前の事ではありません。それくらいうつ病は誰にでも起こりえる病気なのです。
ちょっとでもおかしいと感じたら、無理せず一度立ち止まって、自分を見つめ直してくださいね。